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【美術解説】エブティサーム・アブドゥルアジーズ「幾何学や数学でアラブ世界やアイデンティティを表現」

エブティサーム・アブドゥルアジーズ / Ebtisam AbdulAziz

幾何学や数学でアラブ世界やアイデンティティを表現


『リ・マッピング』
『リ・マッピング』

概要


エブティサーム・アブドゥルアジーズ(1975年生まれ)は、アラブ首長国連邦の現代美術家。シャルジャ生まれ、ドバイ在住。幾何学や数学的な要素を反映したインスタレーション作品やパフォーマンスアートでアイデンティティ問題を探求している。

 

たとえば、上の作品『リ・マッピング』は、数学的な変換に基づく幾何学的図形による、アラブ周辺国の経済成長と芸術の受容度を表す立体地図である。

 

まず、国名のアルファベットにA→1、B→2、……Z→26と、1から26までの数字を対応させ、2つの数字を対にし、座標平面に1つの点としてプロットしている。次に、点と点をつなぎ、得られた図形を各々の国として配慮することで、新地図を生成させる。それを立体化することで作品は完成しますが、各国の高さは、その国や美術館やギャラリーの数など美術の活況により決定するという。

 

この立体地図は白く発光しているが、それは経済成長に沸くドバイの夜景をも彷彿させ、美術界が経済発展と不可分であることを示唆するという。

 

日本では2012年に東京の森美術館で開催された「アラブ・エクスプレス」展に参加している。

「アラブ世界のマッピング」
「アラブ世界のマッピング」
「ライフキューブ」(2006年)
「ライフキューブ」(2006年)

●参考文献

・「アラブエクスプレス」森美術館

Science issue: Ebtisam Abdulaziz and the art of science | The National