私と直観と宇宙人 横尾忠則

「私と直観と宇宙人」の全体は「ワシ」「彼」「わたし」と章立てられた三部構成になっている。「ワシ」の章では自我が中心になり「引用」になる。「彼」では客観が加えられ、そして「わたし」ではイデア界と地上に暮らす横尾さんとが渾然一体となった、いわゆる霊媒の言葉に感じられるのである。

 

また、この本の不思議さは、何も伝えようとしていないところだ。死について、愛について、神について、恐怖について、確かに横尾さんは触れている。だが説いているわけではない。読者になにか想起させる役割を果たしているだけだ。愛とは何か、神とは何かについて、すべては読者自らの中に解答が潜んでいる。