192.ショーペンハウアー「ペシミズム」

お前も人間でしかないのか!

アルトゥル・ショーペンハウアー / Arthur Schopenhauer


概要


アルトゥル・ショーペンハウアー(1788年2月22日-1860年9月21日)は、ドイツの哲学者。主著は『意志と表象としての世界』。


独自の主意主義的悲観主義を構築。仏教精神そのものといえる思想と、インド哲学の精髄を明晰に語り尽くし、その哲学は多くの哲学者、芸術家、作家に重要な影響を与えた。生の哲学、実存主義の先駆と見ることもできる。フリードリヒ・ニーチェへの影響は有名である。


愛犬家として有名で、プードルの「アートマン(宇宙精神)」を連れていつも散歩しており、その犬に腹を立てると「人間」と呼び、「お前も人間でしかないのか!」と悪態をついた。またさくさんの犬の絵を飾っていた。

略歴


 

アルトゥール・ショーペンハウアーは、1788年、ハンザ同盟の自由都市ダンツィヒで生まれる。父親がとても裕福な商人、母親は名門の出身だった。この母親とは生涯うまくいかず、ショーペンハウアーの憂鬱を深めた

母のヨハンナ・ショーペンハウアーと息子のアルトゥールとは、互いの才能を侮蔑や嫌悪によって決定的に対立し、その表だった憎悪の表明のゆえに、歴史上もっとも不仲の親子の例として名を残すことになった。

幼いころから父親に連れられ、商人修行としてヨーロッパ各地に旅行した。でも、商売人にはなりたくなかったようで、父親が死亡すると学問を志す。31歳の若さで自分の哲学を世に問う野心作「意志と表象としての世界」を出版。

「人生は苦悩だ」。それは「欲望」があるからだ。欲望は苦悩を生む。苦悩をなんとか乗り越えて欲望を実現したとしても、今度は退屈がやってくる。退屈していると、また新しい欲望が自分を襲う。するとまた苦悩がはじまる。人生は苦悩の舞踏会だ。

世界は「表象」と「意志」とからなる。表象は人間の力で「どうにかなるもの」、意志とは人間の力では「どうにもならないもの」だ。人間の力は小さい。自分のことも世界のことも、どうにもならないことだらけだ。こうして諦めが訴えられる。ここにペシミズム(悲観主義)が生まれる。

しかし本人の自信に反してほとんど売れなかった。

その後ベルリン大学で哲学の教授になる。当時、ベルリン大学では近代哲学の王者ヘーゲルが教授をしていたが、あろうことか、わざと自分の授業をヘーゲルの授業の時間にぶつける。だれも知らない新人と王者ヘーゲル。結果は明らかだった。ショーペンハウアーの授業に学生はこなかった。憂鬱はさらに深まった。その後、教職はおろか、一切、職業に就くことはなかった。

世間に評価されはじめるのは、50代半ば過ぎてから。とくに、63歳で出版したエッセイ風の「余録と補償」は大成功し、一般向けの哲学者という新しいジャンルを作った。時代も追い風となった。若いころずっと「人生は苦悩だ」というスタンスのショーペンハウアーの哲学はやっと時代の哲学になった。

日課に笛を吹き、愛犬のプードルと散歩し、ときどき大声をあげて変人扱いもされたけど、1860年、多くの人に尊敬されつつ、72歳で亡くなった。


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