丸尾末広「パノラマ島綺譚」

乱歩版「パノラマ島綺譚」を幻想耽美に再現!


「パノラマ島綺譚」は、江戸川乱歩の大傑作「パノラマ島綺譚」を、丸尾末広がマンガ化したもの。

従来の丸尾末広の持ち味である猟奇的で残酷な描写はかなり抑えられおり、幻想的で美しい作風にアレンジ。きつい描写がないので丸尾初心者にもおすすめ。

「パノラマ島綺譚」は、過去に映像としてイメージ化されたことはあるものの、うまく描ききれておらず不満を持っていたファンも多いはず。しかし本作では、原作を読んだときに想像したあの幻想的な光景が忠実にイメージ化されている。特に後半のパノラマ島の描写は圧巻。

ガラスの海底トンネルから眺める海生生物群や人魚。中国の仙境の世界にも通じる大渓谷、大階段、大庭園の魔法、そして何も生産しない不毛な機械の王国!

そして、ミレイ「オフィーリア」、ベックリン「死の島」、「アペニンの巨人」ヒエロニムス・ボスなど、いつもの丸尾先生の膨大な知識を駆使した芸術作品の引用もまたふんだんに盛り込まれてます。

 

もともと、原作の江戸川乱歩自身がエドガー・アラン・ポーの「アルンハイムの地所」に影響を受けて作った作品(というかネタ元)なわけですが、丸尾先生もまた乱歩の「引用の伝統」を自覚的に継承しているようにおもえ、作品頭にはエドガー・アラン・ポーの肖像画が大きく登場します。