近藤聡乃「てんとう虫のおとむらい」

2004年に近藤は、初単行本「はこにわ虫」青林工藝舎より刊行する。この作品は2000年から2003年にかけて「アックス」や「コミックH」に掲載された作品を中心に収録されたもので、約4年にわたる作風の移り変わりがよく分かる。
 
「はこにわ虫」には、「平成15年度[第7回]文化庁メディア芸術祭 マンガ部門審査委員会推薦作品」に選ばれた「つめきり物語」や、自費出版の「てんとう虫のおとむらい」が収録されており、これ一冊で初期近藤聡乃の風景が把握できるようになっている。また「てんとう虫のおとむらい」はアニメーション化もされ(音楽は知久寿焼)、多摩美術大学グラフィックデザイン学科の卒業制作となった。

はこにわ虫
はこにわ虫
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近藤 聡乃
青林工芸舎

しかし、卒業制作として作られたアニメーション版「てんとう虫のおとむらい」は、納得いく出来ではなかったため作り直すことになる。再度挑戦して制作されたものは、オリジナルと全く異なるものとなり、2006年にミズマアートギャラリーで行われた個展「てんとう虫のおとむらい」で公開された。


新バージョンでは、2匹のてんとう虫を打ち殺してしまうシーンから始まり、繰り返し襲ってくる罪悪感と存在不安の悪夢の中で、スカートの内側に何百ものボタンを縫い付けていくストーリーとなっている。全体を通して薄暗いものの、初期のマンガ作品のようなドロドロ感は全くなく、非常に美しい作品に仕上がっている。これは「てんとう虫が手から地面に落ちた瞬間、車に轢かれて死んだ事。このように小さい頃には怖くてたまらなかった“悪夢”が、大人となった今では懐かしく美しいものとして思い出されることに気付き制作した」という制作コンセプトがあったためである。