近藤聡乃「KiyaKiya(2013)」

2011年に制作されたアニメーション作品「KiyaKiya」には、「言語」のほかにもう1つ重要なテーマがある。それは「時間」というテーマである。

「KiyaKiya」は、約6分半の映像を作るのに実作業だけで1年半かかり、制作時は凝縮されたような膨張されたような特殊な時間の流れをたびたび感じたという。その時間感覚は作品の中でも表現されており、1人の少女が同時進行する3つの時間軸にそれぞれ存在し、別々の生活を繰り返しながら、少しずつ干渉し合い、永遠にそれが続いていくという物語となっている。

近藤の時間に対する関心は、何も「KiyaKiya」制作時だけでなく、日ごろから抱いていたことである。近藤は子どものときに感じた「1時間半」と大人になった現在の「1時間半」では時間の密度が異なるように感じるという。現在の「1時間半」はあるかないようなものであるのに、20年前の「1時間半」は絶望的に長い時間で、そうした密度の異なる時間がいくつも存在するという。そしてまた、密度の異なる時間を感じるたびに「胸がきやきやする」するのだと。

こうした背景から、近藤は2013年「KiyaKiya」を時間的な視点からより深く見直す個展を開くことにした。「KiyaKiya」は、普通に再生すると6分半で終わってしまうアニメーションだが、その1秒1秒は15枚の絵からできている。そこで「6分半の映像」としての時間と、「1/15秒の絵の集積」としての時間。この2つの時間を「違うもの」として扱うことにした。

アニメーションだけでなく、ドローイングと油彩を展示することにした。つまり「アニメーションという時間」「絵画という時間」の並列である。会場はミズマアートギャラリーと六本木ヒルズA/Dギャラリーの二会場が使われることとなった。

六本木ヒルズA/Dギャラリーでは「KiyaKiya―アニメーション原画展」として、アニメーションの1/15秒を構成している原画や背景を展示。ミズマアートギャラリーでは「KiyaKiya 1/15秒」、前回の「KiyaKiya」のアニメーション作品に加えて、アニメーションの中には「存在していない時間」をドローイングと油彩で新たに描いて展示。

 

合計3つの時間をとらえようと試みたのがの狙いだった。