マイク・ケリー大回顧展「ポップ・カルチャーとカウンターカルチャーの融合」

現代のアメリカのアーティストに最も影響を与えたアーティストの一人、マイク・ケリー(1954-2012)の大回顧展がロサンゼルス現代美術館(MOCA)で開催されている。キュレーターはベネット・シンプソン。

 

詳細:MOCA

 

デトロイト生まれで、2012年に57歳でノース・パサデナの自宅で自殺したマイク・ケリーは、一般的にミクストメディアのインスタレーション作品で知られている。アメリカ文化における暗く混沌とした部分を徹底的に見つめつつも、ケリー独特のポップな感性と伝統的な技法をもって作品に仕上げてきた。

 

代表作といえば、キャンバスいっぱいに大量の自作の動物のぬいぐるみやアフガン織りの布をコラージュした作品「返済できないほどの愛の時間」だが、最近の傑作といえば、やはり2011年にガゴシアン・ギャラリーで発表した精神分析家ジグムント・フロイトのフィギアを展示するカーネルサンダースの等身大マネキン「Kerry Colonel」(※写真右上)だろう。ケリーは「PLAYING WITH THE DEAD (死と戯れる)」というエッセイ本を出版しており、その本ではジークムント・フロイトの論文について言及している。

 

ケリーは、ドローイング、映像、音楽、写真、ぬいぐるみ、絵画などさまざまなメディアを作品制作に利用してきた。そこには、ポップ・カルチャーの中に抑圧されている無意識やジェンダー問題などがある。その表現はジグムント・フロイトの理論をベースとした芸術表現であるシュルレアリスムに共通している。もうひとつの特徴として、ケリーは哲学、政治、歴史といったハイカルチャーから、アンダーグラウンド音楽、キッチュ芸術、ワーキングクラスの文化といったロウブロウカルチャーまで階層を横断して影響を受けているのが特徴的である。

 

MOCAのプレスリリースによれば、今回の展示は、35年に以上におよぶキャリアを通じて制作された250もの作品を展示。1993年以来、20年ぶりの大規模な回顧展だという。

また、MOCAによるとケリーは自分の美術についてこう説明していた。

 

「私にとっての芸術の起源は“カウンターカルチャー”だった。そして私はポップ・カルチャーという素材を用いてポップ・カルチャーをひっくり返しました。ポップ・カルチャーをよく見つめることによって、そこに何が抑制されて、また何が隠されてきたのかを発見したのです。」

 

マイク・ケリーの個展は3月31日から7月28日まで。

●ギークワード

 

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