アナ・バガヤン「フューチャー・リアリズム」

アナ・バガヤン/Ana Bagayan

フューチャー・リアリズム


概要


アナ・バガヤン(1983年5月31日アルメニア共和国生まれ)は、アメリカの画家。6歳のときにアメリカの南カリフォルニアへ移住する。パセデナのデザイン学校で、イラストレーションを学ぶ。

 

卒業後はBilly Shire Gallery、Varnish Fine Art、Subtext Gallery、La Luz de Jesusといったロウブロウ系のギャラリーで展示活動を行う。このころのバガヤンは妖精が住むおとぎ話のような世界に不意に冷たい現実的な感覚を介入させるシュルレアリスム風の作品が中心だった。それは鑑賞者を魅了させると同時にどこか突き放すような感覚を与えていた。

 

現在は結婚してロサンゼルスのビッグベアを拠点を移し、山奥で夫と2匹の犬とともに生活している。また宇宙人、スピリチュアル、幽霊、未知の生物へと関心を移し、それらに影響を受けた作品を発表している。なお彼女の夫は宇宙人に誘拐されたことがあるといわれる。

 

バガヤンは自身のユートピア的な未来ビジョンやシュルレアリスム風の世界観を表現する言葉として「Futurealism」という言葉を使っている。

略歴


若齢期


永遠の若さと純潔無垢を偽装するための隠れミノとしての“少女”。少女とエロス。エロスに汚染された少女のイメージは、甘い香りをばらまきながらひたすら腐っていく。どんな仮面を付けていてもエロスの正体は、口と肛門のように一直線に結ばれた生死を祝う賛美歌の大合唱だからだ。

 

 誕生し、生殖にむかって成熟し、果実を残したら、死んで、腐っていく。生まれ変わりを繰り返す有精卵たちが大騒ぎを繰り返してばかりの面倒臭さだけがおもしろげな宇宙って一体なんなんだ!そんな、不潔な因果の鎖から自由になる少女たちにのみ、作者は限りなく偏愛をふりそそぐ。

 

アナ・バガヤンの絵の中には、人形のような少女、ぬいぐるみのウサギやクマ、お庭の飾り物のトリたち、造花のような樹木やお花。どう引っくり返してみてもドールハウスそのものだ。表面的にみれば条件反射にまかせて「カワイイ!」と言わせるだけの暗示力のあるモチーフを取りそろえた空間のよう。

 

にも関わらず、断固としてカワイくない。作者の意図として意識的に、カワイイ少女やぬいぐるみや飾り物を、カワイイなんかは絶対に描かない決意が一貫したテーマとして追求されているからだ。

 

方法として選ばれているのは無感動。画面のなかの少女たちの虚空の一点だけをうつろに見つめる目ざし、どの方向からみても同じ無表情な顔は、たえずスキを狙うスケベ目線を断固として拒否し、無感動のために人形のように凍りついて、画面からカワイくなさを強烈に投げつけてくる。

 

ここでの人形らしさは、抵抗力を完全に奪われた100%受動性のシンボルではなく、外界を遮断するための装甲なのだ。カワいい少女めかしたラブリーな服装やヘアスタイルをカモフラージュのための迷彩服に役立てながら無言の戦いが繰り広げられている。

 

レトロなオモチャの人形をデッサンの基礎にしたようなそのプロポーションは、オトナにむかって成熟することへの好奇心から切り離されて、永遠の少女としての無時間性にすがりつくための、ぼんやりと無感動な戦いの証しなのだ。

 

この無感動さは、残酷シーンにおいて、さらに際立つものになっている。お腹をぐっさり切り開かれたり、手足や首を切断されたり。いたるところに、流血、出血。身体損傷場面があるもののそこにはサディスティックな興奮の影など微塵もなく、マゾヒスティックな被虐の官能などもこれまたどこにも見当たらない。

フューチャー・リアリズム


アルメニア生まれで、現在ロサンゼルスのビッグベアを拠点に活動しているアナ・バガヤン(Ana Bagayan)の個展「Children of the Sun」が、5月24日よりThinkspace(ロサンゼルス)で開催される。

 

バガヤンは、抽象的なものや未知の世界への関心を抱いている。おもにキャンバスに油彩絵の具を使って、少し威圧感のあるポートレイトと超自然で構成された別次元の世界や神秘的な物語をイメージ化していくのが特徴である。

 

これまでは高度に様式化された技術で、ポップシュルレアリスム風な少女ポートレイトを中心に作品を制作してきた彼女だが、今回の個展ではモローやルドンなどの象徴主義的な傾向が見られるようになっている。たとえばDMの絵の目玉のような物体や球体に人間の顔が描かれた絵などは、おそらくオディロン・ルドンへのオマージュではないだろうか。

 

バガヤン作品における特徴は、やはり大きく広い眼を持った少女や宇宙人や謎の生物たちであるが、今回の個展ではそれらのモチーフとともに、奇妙なものに対する美、子ども特有の不思議な感覚、不可思議な夢の感覚をシームレスに結合させたビジョンを表現するという。

 

またバガヤンは、自身の作品を言及する際に”Futurealism"という言葉を使用する。それは自己の中で誇大妄想的に拡大された未来のビジョンを描き出すために造られたバガヤンの造語である。「Chidren of the Sun」では、futurealimというテーマのもと、今後、宇宙人との不思議なコンタクトとそれによって訪れるユートピア的な未来ビジョンを描き出す。