The Gay 90s: West

パブロ・ピカソやアンディ・ウォーホルといった前衛芸術家からマーク・ライデンなどのポップシュルレアリスト、さらに映画監督のデビッド・リンチまで、幅広く世界的アーティストを積極的に紹介しているKohn Galleryが、総面積1万2000平方に増設。リニューアル記念の展示として、5月3日よりマーク・ライデンの個展『The Gay 90s: West』を開催している。

 

今回の個展でライデンは、今だ彼の中で失われることがない"Gay 90s"の探究を通じて、キッチュ文化に対する彼の美学を強調する。"Gay 90s"という言葉は、1920年代に造られた言葉で、19世紀終わりごろの素朴でシンプルな自然主義的なアメリカ生活へのユートピア的心情を指すものである。1920年代のアメリカといえば禁酒時代のころで、ちょうど都市人口が増えつづけ大都市が急成長。農村中心の生活から都市中心の生活に移行が完了したころである。しかし100年後、1990年代になって"Gay 90s”という言葉は、もはや19世紀へのノスタルジアという意味で使われることはなくなり、むしろ、牧歌的な黄金時代のアメリカは消失したという意味で使われた。

 

しかしライデンの展示では、大きな弓、大型車輪の自転車、メインストリートUSA、劇場、サテンスカートに身を包んだ女性など、理想化された1890年代のアメリカを視覚的な装飾として採用している。ライデンによればそれらは現在のポップカルチャーから阻害された断片の再現であるという。

 

ライデンは、19世紀フランスの自然主義的なポートレイト絵画やドミニク・アングルなどの古典絵画に影響を受けている。フランスの古典絵画とアンダーグラウンド文化、伝統的な絵画技法で、キッチュで風変わりな主題を描くライデン。ハイブロウと同時にロウブロウでもあり、またライデンにはノスタルジーと陰鬱な物語の同時性が見られるが、それは私たちのキッチュ文化の魅力と同時に反発性を強調している。

 

このようにライデンは、私たちの文化景観が、自然主義からキッチュへの移行、同時に起こる反発、自然主義へのユートピア幻想へと移行するプロセスのようなものに関心を抱いている。展示は6月28日まで。

 
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