116.スチュ・ミード「遅れてきたバルテュス」

スチュ・ミード / Stu Mead


概要


スチュ・ミード(1955年生まれ)はアメリカ生まれ、ベルリン在住。ミネアポリス美術大学で美術博士号を取得して卒業。バルテュスのように思春期少女の性の目覚めを思わせるエロティックな少女素朴画が特徴。自身のナイーブさを少女に投影しているとも言われている。

略歴


●シカゴ・イマジスト派

スチュ・ミードは、臆病だった美大を卒業した後にアート同人誌『アートポリス』の主催者であるフランク・ガードに発見され、そのロリコン性を激励されたことが、誰よりも率直真摯なロリコン画家へと変身させる運命の扉を開いた

 

フランク・ガードの背景には、シカゴ・イマジスト派がある。この流派は、1940年代以降、美術界の表舞台では一貫して具象的でしかもシュルレアリスムにこだわり続けた反体制的アーティスト集団で、一面では、現在のロウ・ブロウアートの先駆者ともいえる。また、ガードを始めとするシカゴ・イマジスト派は、土俗アートや民衆芸術、アマチュア画家の作品などを積極的に評価し、芸術家としての支援を行っており、ほかにヘンリー・ダーガーやマーチン・ラミレスなど、現在では著名になったアウトサイダーアーティストの発掘・紹介についても先駆的な役割を果たしてきたことで有名だ。

 

このシカゴ・イマジスト派の赤い糸によって、スチュ・ミードの少女画は、世にでることになった。

●初期

1991年、ミードはガードとともにコピー同人誌『Man Bag』を創刊。このときから現在まで、性と少女性をめぐる幻想だけに固執した創作が続くのだが、初期作品から現在までに目立つのはマゾ性質である。タレ目で顔面全体も重力に引っぱられすぎな、駄目なロバのような顔をした男たちにできるのは、少女たちが衣服を脱いだり、排尿や脱糞をしたりしてることころをただ眺めているだけ。あるいは、無意味に大きめな男根をブラブラさせてみるだけ。お仕置きを受けるとき以外で、少女たちに直接触れられるのは、首輪をはめられた本物の犬になっている時か、従順でおとなしい馬、鹿、ニワトリにまで成り上がったときだけという有りさまだ。 

 

●近年

ただ近年になるにつれ、作品からマゾ男たちの影が遠のく一方で、明るいパステル調で描かれる作品のなかの少女たちは、日本でいえば敗戦後の昭和20-40年代ころの少女雑誌を彷彿とさせるような、ひと昔ふた昔も前、西洋でいえば1世紀も昔風な、プチお上品な家庭での少女たちだが、そこにはバルテュスに描かれる少女のような楽しい秘密の性的遊戯がある。