東京都美術館「都美セレクション 新鋭美術家 2015」

2008年から2015年までの高松作品を一望


2月19日から東京・上野にある東京都美術館で新鋭作家5名を個展形式で紹介する展覧会「都美セレクション 新鋭美術家 2015」が開催されている。

 

2月15日よりイタリアのギャラリーDorothy Circusで個展が始まり、また来月はアメリカ・カルバーシティのグループ展において主役作家として抜擢、今や世界中を駆け回り、作品も常にソールドアウトのため、なかなか日本でまとまった展示の見る機会が得られない高松和樹。

 

本展はそんな多忙な高松が参加する稀少な展覧会だ。作品点数は7点ながらも2008年から2015年までの作品の変遷が一望できる見応えのある展示となっている。薄暗い照明で展示の雰囲気も抜群なので「幻想耽美」ファンであるなら、これを機会にぜひとも足を運んでおきたいところだ。

「情報ハ強制的二与エ続ケラレル-un,deux,trois」2009年
「情報ハ強制的二与エ続ケラレル-un,deux,trois」2009年
「人形二ダッテ救エル事モ有ル」2015年
「人形二ダッテ救エル事モ有ル」2015年

「命の繋がり」を表現する山田彩加


そして幻想耽美ファンならぜひとも覚えておきたいのが、高松の隣で展示されている版画作家の山田彩加だ。

 

彼女は命に編みこまれたさまざまな「つながり」を版画で表現する。その植物なのか血管なのかに包まれた少年少女の絵画を見ると、どこか山本タカトの作風を想起させるところがある。

 

山田によれば、大学一年時に受講した美術解剖学で、血管や毛細血管と植物根との生物学的類似性を発見。その血管と植物のダブルイメージ的な要素が絵に生かされているのだという。

「生命の変容と融合-0への回帰-」2012-13年
「生命の変容と融合-0への回帰-」2012-13年
「Womb of Nature」2014年
「Womb of Nature」2014年
タイトル不明
タイトル不明

また、版画という技法も山田にとって重要だ。

 

版画の直接的な単色表現には、深層意識から思いがけない表現が生まれる可能性があり、版画による図の反転間接的な表現は、精神や意識の本質が成すものへの探求する手がかりになるという。デカルコマニーやコラージュなどの偶然的手法を版画を通して利用しているところにシュルレアリスムと通じところがあり、シュルレアリスムファンとしても注目したい作家だ。


ほかにも、幅6mの大作で迫力ある存在感を打ち出す瀬島匠、日本美術の古典研究から触発された確かな手法で自らの世界を表す髙島圭史、斬新な構成力で男と馬を巧みに組み合わせた立体像田丸稔など魅力的な作品がたくさん。

 

会期は3月15日まで。