バンクシー「廃墟と陽気な子猫」

ガザに突如出現したバンクシーの子猫の絵は、廃墟となった周囲の空間と対照的でシュルレアリスム的な情景が漂っている。

バンクシーがガザの現状をレポート


正体不明のイギリス人アーティストのバンクシーが、2015年2月27日に自身のサイトで公開した約2分のガザ地区に関するビデオが、現在、国際的な注目を集めている。


2014年夏の7週間におよぶイスラエルの軍事攻撃の被害を受けた小さな地区でのパレスチナ人の現在の窮状と苦しみに光を当てた内容となっている。


このビデオは、ガザ地区で破壊された建物の一部に描いたバンクシーのグラフィティ・アートといくつかの壁に赤い文字で描かれた文章に焦点を当てている。


「強者と弱者の間での紛争から私たちが身を引くことは、結果として私たちは強者の味方になったことになる。われわれは中立性を維持していない。」

廃墟と陽気な子猫


バンクシーがガザで制作した最も印象的なグラフィティ・アートは、破壊された家と思われる壁に描いた子猫の絵だ。バンクシーは子猫の絵についてウェブサイトで意図を説明している。


「地元の人が来て「これはどういう意味だ?」と聞いてきた。私は自分のサイトで、対照的な絵を描いた写真をアップすることでガザ地区の破壊を強調したかった。しかし、インターネットの人々は破壊されたガザの廃墟は置き去りにして、子猫の写真ばかりを見ている。」


子猫の絵以外にも3点ほどグラフィティ・アートは制作されている。


バンクシーのグラフィティ・アートは、避難所や供与された金属製のキャラバンで住んでいる家族が多数滞在する荒廃したベイトハヌーンで制作。2014年夏にイスラエルの軍事攻撃で約10万の家屋が破壊されたり、多大な損害を受けた町だ。


「アクティビスティル」のカメラマンや、「ミドル・イースト・アイ」のジャーナリストのアン・パックやバーゼル・ヤズーリらは、パレスチナ避難民の生活を記録していたが、そのときに彼らはバンクシーがビデオを公開する一週間前に子猫のグラフィティ・アートに気がついていた。


彼らが撮影した写真は子猫の絵が描かれた壁の背後、わずか数メートルの場所に住むパレスチナ人家族の生活を説明している。彼らは去年の夏のイスラエルの攻撃の間、他の多くの人と同じように家を失ってから極度の貧困下とぞっとするような環境で暮らしている。

「Bomb Damage」:ロダンの「考える人」を本来の意味を無効化して、被曝に苦しむ人々に置き換えられている。
「Bomb Damage」:ロダンの「考える人」を本来の意味を無効化して、被曝に苦しむ人々に置き換えられている。
イスラエルの監視塔にぶらさがって遊んでいる子どもたちの絵
イスラエルの監視塔にぶらさがって遊んでいる子どもたちの絵

国際支援団体を動かす


バンクシーのビデオが公開された同日、30もの国際支援団体は、パレスチナの被災者の生活の再建と紛争問題の解決の進展の声明を出した。


バンクシーが描いた陽気な子猫の絵は、周囲の環境から場違いのように見えたが、結果として国際的なメディアの関心を誘い、国際援助組織を動かすきっかけとなった。