【作品解説】サルバドール・ダリ「ロブスター電話」

ロブスター電話

 Lobster Telephone

エビと電話を並列させた超現実オブジェ


概要


「ロブスター・テレフォン」は英国人コレクターエドワード・ジェイムズの依頼により、1936年にサルバドール・ダリが制作したオブジェ作品。計10台制作されている。


本物の黒電話に石膏製のロブスターを接着させている。サイズは約15×30×17センチメートル。初期超現実オブジェの代表的な作品として紹介されることが多い。なお電話は普通に使え、4台購入したジェームズは広い邸内のあちこちにこのロブスター電話を設置して、実際に利用していたという。


「ロブスター」と「電話」というモチーフはダリにとって強い性的な意味が含まれている。ロブスターはドローイングや絵画などさまざまな作品で現れるモチーフで女性器を象徴している。ダリにとって女性器とは性的な興奮と同時に不安を象徴するものである。1939年のニューヨーク・ワールドフェアで、ダリは「ヴィーナスの夢」というインスタレーション作品を発表し、魚介類で制作された衣装をヌードモデルに着せていたが、その際にもロブスターが衣装の一部として使用されている。

 

「ロブスター電話」では、電話のマウスピースの上にエビの尾びれの部分、性器の部分が設置されている。電話というモチーフは、マウンテン・レイク」や「アメリカの詩」などに現れる。ダリにとって電話とは、どこか官能的な曲線美があるという。


ロブスター電話の耳の部分にはエビのはさみが設置されているが、これはダリが敬愛する19世紀末のマッド・アーティストことヴィンセント・ヴァン・ゴッホへのオマージュである。耳を切って娼婦にプレゼントしたゴッホのマッド事件と、ダリとガラとの関係を重ねあわせているという。