グスタフ・クリムト「人生の三段階」

女の三段階と細胞を通じて生と死を表現

概要


「人生の三段階」は、1905年にグスタフ・クリムトによって制作された油彩作品。1911年のローマ国際美術展で金賞を受賞。


この作品では、幼少期、若年期、老齢期にある3人の女性を通じて「女の人生」を表現している。若年期を示す女性が幼少期を示す女の子どもを抱き、背後に老齢期を示す老婆が描かれている。


赤ちゃんと若い女性は目を閉じ、装飾的で華やかな色使いの空間に包まれ、春を象徴する花が頭の周りに配置されている。一方で老婆はうなだれて、腹が突き出て、胸が垂れ下り、腕には血管が浮き出ており、顔を長い髪と手で隠している。


若い女性や老婆の横に描かれているドーナツ状の模様は細胞とも言われている。クリムトは微生物学に関心をもっており、ドーナツ状の模様はバクテリアコロニーとよく似ていると指摘されている。


老婆は細長い原生虫の中心に立ちうなだれているいることから、細菌による分解、つまり「死」を象徴している。一方で赤ちゃんを抱いた女性の周囲のドーナツ状の模様は新しい細胞の誕生、または花模様でもあり、それは「生」を象徴している。


全体として、「生」と「死」を通じて、新たな生成と分解を繰り返していく世界観を「女性の人生」を通して表現している。


なお、この老婆はオーギュスト・ロダンの彫刻「老いた娼婦」から着想を得ている。ロダンの「老いた娼婦」は1901年にウィーンで開催された19世紀美術展覧会に出品された作品で、クリムトもこの展覧会に参加しており、そのときに大変感銘を受けたという。