【作品解説】マルセル・デュシャン「なりたての未亡人」

なりたての未亡人 / Fresh Widow

ローズ・セラヴィ署名の初作品


マルセル・デュシャン「なりたての未亡人」(1920年)
マルセル・デュシャン「なりたての未亡人」(1920年)

概要


「なりたての未亡人」は1920年にマルセル・デュシャンによって制作されたオブジェ作品。フランス窓のミニチュアで、ペンキ塗りの木枠に8枚の黒い皮がはめられている。デュシャンの扉・窓系作品の代表的なもの。ニューヨーク近代美術館が所蔵しています。

 

ミニチュア自体はニューヨークの指物師による受注で、デュシャン自身がした作業は、仕上げとして窓ガラスを黒皮のパネルに取替えただけです。デュシャンによれば「毎日磨いてもらいたい」という気持ちで、ガラスを黒皮に取り替えたようです。

 

「なりたての未亡人」の原題は「Fresh Widow」で、両開き式のフランス窓の「French Window」から由来しています。フレッシュのrをlにすれば「肉欲」という意味になり、肉欲に飢えたフランスの両開きという意味にもなります。

 

「なりたての未亡人」が制作された頃は、第一次世界大戦直後で、パリの街では戦死した夫の喪に服する数多くの未亡人たちの姿が見られたといいます。そして戦時中、空爆に備えて貼られていた窓の黒い目隠しは、戦後には喪を示すための目隠しとして利用されていました。

 

「なりたての未亡人」は、夫の喪失と同時に「毎日磨いてもらいたい」フランスの未亡人をかけあわせている作品です。なお、この作品はデュシャンがローズ・セラヴィという女装用のPNで署名した最初の作品でもあるため、女性の心性を表現しているのは明らかです。

マルセル・デュシャンTop

 

<参考文献>

・マルセル・デュシャン展 高輪美術館 西武美術館