【作品解説】ジョルジョ・デ・キリコ「ヘクトルとアンドロマケ」

ヘクトルとアンドロマケ / Hector and Andromache

戦争と別れ


ジョルジョ・デ・キリコ「ヘクトルとアンドロマケ」(1917年)
ジョルジョ・デ・キリコ「ヘクトルとアンドロマケ」(1917年)

概要


「イリアス」におけるトロイの攻防から一場面


「ヘクトルとアンドロマケ」は、1917年にジョルジョ・デ・キリコによって制作された油彩作品。

 

この絵が描かれたのは1917年の第一次世界大戦時で、キリコが戦場から病院へ移された頃に描かれたころ。「不安を与えるミューズたち」「出発の憂鬱」と同じく、戦争に対する不安感を表現していると思われます。

 

イーゼルのようなオブジェで構成された身体とマネキンの頭というキリコの代表的なモチーフで構成された二人の人物が寄り添っています。タイトルの「ヘクトルとアンドロマケ」は、ホメロスの「イリアス」におけるトロイの攻防から一場面です。ヘクトルはトロイの王子で左側の人物。アンドロマケはヘクトールの貞節な妻で右側の人物を指しています。

 

「イリアス」の話では、ヘクトルはトロイの戦いに出る前に城壁の上でアンドロマケと別れ戦場におもむくことになります。へクトルはその戦争で死んだ英雄となり、アンドロマケは夫の死後、複雑な経過を生きることになります。

 

「ヘクトルのアンドロマケ」はこの作品だけではなく、その後、基本的な構図は同じですが、背景やオブジェに変更を加えて何度も制作されており、同タイトルの彫刻作品もあります。

 

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