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【美術解説】長井朋子「ドールハウス・アート」

長井朋子 / Tomoko Nagai

ドールハウス・アート


概要


生年月日 1982年
国籍 日本
表現媒体 絵画、インスタレーション
代表作

『フルーツポンチの休日』

『川のことを考える』

影響を受けている人物

アンリ・マティス

80年代以降の日本の現代美術家の代表として注目されている。長井の作品は、演劇的な構図と重厚な色彩で「小さな世界」と呼ばれるファンタジー空間を表現しており、現代の目まぐるしい生活の中で多くの人々に愛されている。

 

 

 

長井朋子の作品は、繰り返し描かれる少女的なモチーフや、かわいらしい動物(特に猫と熊が多い)で構成された高密度のパステルカラーの空間が特徴。具象と抽象、平面性と立体性が入り乱れる。少女らしい長井独特の装飾的フレームも人気が高い。

 

最近はインスタレーション表現も得意としており、彼女が作る空間は、現実的な空間と非現実的な空間の両方の世界を同時表現する。たとえば、本物の椅子のとなりに絵の観葉植物が置かれたり、壁には架空の窓やカーテンが設置され、架空の景色が描かれる。本物の机の上に絵の鏡や絵の花瓶が設置される。子どものころに楽しんだドールハウス箱庭を等身大レベルにまで拡張したような世界が空間となる。

 

長井は幼少期の記憶や人形のコレクションからインスピレーションを受け、演劇的な構図と重厚な色彩で「小さな世界(“It's a small world”)」と呼ばれるファンタジー空間を表現している。

 

現代の目まぐるしい生活の中で、彼女の純粋な想像力は喜びの場を保ち、癒しと安らぎをもたらし、多くの人々に愛されている

 

また、世界中にファンを多く持ち、彼女の作品は高橋コレクション(日本)をはじめ、オルブリヒト・コレクション(ドイツ)、ザブラドウィッチ・コレクション(イギリス)、ジャピゴッツィコレクション(スイス/アメリカ)などに収蔵されている。

 

彼女の代表作である『フルーツポンチの休日』は、クリーム色の白、淡いブルー、柔らかいグリーンで、芽吹く風景を描いている。この作品は、2023年4月6日に香港のオークションで660,000香港ドル(約1100万円)で落札された。

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