【作品解説】サルバドール・ダリ「縄跳びをする少女のいる風景」

縄跳びをする少女のいる風景

Landscape with a girl skipping rope

縄跳び少女の人影と鐘のダブルイメージ


概要


「縄跳びをする少女のいる風景」は、1936年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。英国人コレクターのエドワード・ジェームズの依頼により制作されたもので、側部パネルと中央パネルの三連画構成となっている。


ジョルジョ・デ・キリコの影響が濃い作品で、中央の縄跳びの少女は、キリコの「通りの憂鬱と神秘」の輪を回す少女から着想を得ている。この縄跳び少女は何度かほかの作品にも描かれている。


扉がなく、かなたの世界まで通じている中央の塔は、キリコの塔だけでなく、イタリア・ルネサンスの巨匠ラファエロの「聖母の結婚」の建物から引用している。


塔の上部にある時間を告げる鐘と縄跳びをする少女の暗い影が対応しており、どこか少女の「不安」と「始まり」を鑑賞者に想起させる。


中央のパネルの影と右側のパネルの影の向きが違うことから、この三連画はそれぞれ異なる時間を描いている。右パネルの二人の人影はミイラや死体のようなもので、これはダリと死んだダリの兄であるという。