ダリと超現実オブジェ

性的要素の強い超現実オブジェ


シュルレアリスム運動における代表的な超現実オブジェは、サルバドール・ダリの「ロブスター電話」「メイ・ウエストの唇ソファ」である。


ダリのパトロンだったイギリス人コレクターのエドワード・ジェームズが両方とも購入して所有していた。ジェームズは5歳のときにイギリスのウェスト・ディーンに巨大な資産を相続し、1930年代前半にシュルレアリストを最もサポートしたコレクターの一人だった。


「ロブスター電話」は強い性的要素が含まれた作品である。ロブスターはドローイングや絵画などさまざまなダリ作品に現れるモチーフで、女性器のシンボルである。ダリにとって女性器とは性的な興奮と同時に不安を呼び起こすものである。


電話はダリにとってどこか官能的な曲線美を感じるオブジェであるという。黒電話は「アメリカの詩」や「マウンテン・レイク」などでも登場するが、基本的に男性器のシンボルとして扱われる。ロブスター電話では、電話のマウスピースの上にエビの尾びれの部分、性器の部分が設置されている。


ロブスター電話は複数存在しており、ジェームズはダリから4点購入しており、実際に電話として利用できることから、自宅の電話と取り替えて使っていたという。


「メイ・ウエストの唇ソファ」は1937年にサルバドール・ダリによってデザインされた超現実家具。実際の制作は家具職人でダリはデザインを担当。ハリウッド女優メイ・ウエストからインスピレーションを受けて制作。


メイ・ウエストはほかの女優と異なり、大きな尻、曲線美、下品性、スキャンダル性などダリにとってぴったりな要素をあわせもつミューズだったとう。

「ロブスター電話」
「ロブスター電話」
「唇ソファ」
「唇ソファ」

鑑賞者こそ芸術家「宝石オブジェ」


1941年から1970年までに、ダリは39の宝石オブジェを制作している。最も有名な作品は「王家の心臓」で、全体は金でつくられており、46個のルビーと42個のダイヤモンドと4個のエメラルドが散りばめられ、中心にはルビーで作られた心臓のオブジェがある。


心臓のオブジェは電気仕掛けとなっており、“ドキドキ”脈打ちながら音も出す。ダリはこの作品について「鑑賞者なしにそれらは機能を果たせない。彼らが究極の芸術家であり、彼らの視線、心がそれに生命を与える」とコメントしている。


ほかに宝石オブジェとしては、エリザベス2世の戴冠式の栄光を讃えて作られた「ざくろの心臓」がある。ゴールドの心臓の中のプラチナやダイヤが敷き詰められており、ざくろの実にたとえた血のしずくはルビーとなっている。

「王家の心臓」
「王家の心臓」
「ざくろの心臓」
「ざくろの心臓」

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