川島優個展「BOX」

川島優個展「BOX」


概要


日本画家の川島優の個展『BOX』が、7月27日(水曜日)から9月5日(月曜日)まで、軽井沢にあるホワイトストーンギャラリー軽井沢のギャラリー2&3で開催。

 

自身のシリーズ作から展開した新作12点を含む、計20点の作品が一堂に展示されていますが、一つ一つの作品が独立し断絶されたものとして、それぞれ独自の世界を表現している展覧会。このように人間は、社会において「現実」を通して他人と交わりながらも、個人や社会はそれぞれの世界観を形成しその「箱」の中で暮らしている、というコンセプトを、当館の空間を利用し体現してる。

 

------------------------------------

異彩を放つ画家、川島優          

 

作品《Toxic》でFACE2014グランプリを受賞し、一躍脚光を浴びた川島優は、現在、愛知県立芸術大学博士課程在籍中であるが、若手作家として華々しく活躍している。

 

川島は女性像を描く。但し、今流行りの男性に媚びる官能的な女性像やネオ・ポップで「かわいい」女性像とは一線を画する。川島の描く女性像は禁欲的でありながら、感情を隠し持つような、「謎めいた」女性たちなのである。

 

私は、2016年新春、勤務美術館で3年間に亘る川島の作品群を並べてみて、「女性像であるが実は川島の自画像である」という思いを確かにしたのである。打ち放しのコンクリート壁、遠近感覚を強調した幾何学的な床、空ろな視線を投げかける女性。川島の心情を女性たちに仮託しているに違いない。純真な青年が社会の嘘・欺瞞の「有毒」な異物によって「汚染」されていく相を描いているのだ。無骨なコンクリート表層部は無垢で傷つき易い心情、壁に突き当たる(消失点に向かう)床の柄はその痛みを象徴しているのであろう。

 

今回の展覧会テーマは「BOX」。出品作品は、これまでのシリーズとは趣を異にする。それぞれが固有の空間となり、個人が関わる異なる社会、世界の様相を表現しているという。「不安を描く」と題する博士論文執筆中の川島は、フリードリヒ・ニーチェが提唱したニヒリズム(虚無主義)や無神論、実存主義などにも影響されているという。「受動的ニヒリズムから能動的ニヒリズムに差し代わる時のことを表現したい」と語る川島は、「不安を描くことで不安を超える」生き方を目指しているのである。

 

川島は、抜群のデッサン力で、モノトーンと思われながら機微に富む色彩を扱い、フォルム、シルエット、コントラストに拘り、現代の「不安」に向かい、自分は何者かを問い、乗り越えるべく絵画の中で挑戦し続けている。川島の新作群が軽井沢で一堂に会するのは、今夏一番の出来事として、美術の歴史に刻まれるに違いない。

 

五十嵐卓 (美術評論家)

------------------------------------

 

ホワイトストーンギャラリー軽井沢は、軽井沢ニューアートミュージアム内に併設したギャラリー。JR軽井沢駅から目抜き通りを真っ直ぐに7分ほど歩いたところにある。ギャラリー1では草間彌生展が開催中。

 

夏休みを利用して避暑地・軽井沢でゆっくり鑑賞しよう。


あわせて読みたい

川島優
川島優
清里現代美術館
清里現代美術館
諸橋近代美術館
諸橋近代美術館