【作品解説】ドロテア・タニング「誕生日」

誕生日 / Birthday

無限に続く開かれた扉


ドロテア・タニング《誕生日》1942年
ドロテア・タニング《誕生日》1942年

概要


作者 ドロテア・タニング
制作年 1942年
サイズ 102.2 x 64.8 cm
メディウム キャンバスに油彩
所蔵者 フィラデルフィア美術館

《Birthday》は1942年にドロテア・タニングによって制作された油彩のセルフ・ポートレイト作品。彼女の30歳の誕生日記念に描かれたので作品名は「Birthday」となっている。

 

胸をはだけたタニングの背後には無限に続く開かれた扉が描かれており、それはタニングの無意識を反映しているといわれる。多くのがシュルレアリストが、迷宮のような建築構造を自己意識を表現するのに適したモチーフとして絵描くが、この無限に続く扉の絵画は最も代表的な作品といえる。

 

タニングの足元にいる鳥のような獣のような変な生物はガーゴイルで、ガーゴイルはこの作品の主題となっている。タニングによれば、ガーゴイルは死と関連付けられたモチーフだという。

 

またタニングは上半身は胸をはだけさせた状態で派手なアパレルの服を着ている。その一方で、下半身は地味で暗めのカラーで、不気味な木の根のようなスカートを履いている点に注目したい。この上下の不釣合いの衣服は、彼女の上半身と下半身の矛盾した精神を表現したものであるという。