【作品解説】ジョルジョ・デ・キリコ「モンパルナス駅」

モンパルナス駅 / Gare Montparnasse

幸福へ向かうのか悲しみへ向かうのか


ジョルジョ・デ・キリコ「モンパルナスの謎」(1914年)
ジョルジョ・デ・キリコ「モンパルナスの謎」(1914年)

概要


作者 ジョルジュ・デ・キリコ
制作年 1914年
サイズ 140 cm × 184.5 cm
メディウム キャンバスに油彩
所蔵者 ニューヨーク近代美術館

「モンパルナスの謎」は、1914年にジョルジョ・デ・キリコによって制作された油彩作品。

 

キリコの作品は、旅行時にインスピレーションを受けて制作されたものが多く、本作はタイトルの「モンパルナス」が示すとおり、パリに住んでいた時にモンパルナス駅にインスピレーションを受けて制作されている。

 

キリコ独自の様式である形而上絵画の初期作品で、夕焼けのような明るい金色の光と、長く伸びた黒い影のコントラストの対比、時計台、アーチや巨大柱に焦点を置いたギリシア古代建築を想わせる建物、人影、汽車といったキリコ定番のモチーフが配置されている。

 

ほかの作品と異なるは手前にバナナの束が配置されていること。この作品以外にもバナナが主題となる作品は「詩人の不確かさ」などいくつかあり、バナナの束はキリコにとって黄金と甘く完熟した贅沢な食べ物で「幸福」を象徴している。

 

なお、キリコにとって汽車は「故郷」や「子供時代」を象徴しており、後景遠くに汽車が置かれ、前景にバナナが置かれ、そしてその中間に人影が配置されている。時間は午後1時30分。夕焼けというにはまだ早い時間。人影は前に向かって進んでいるのか、後方に進んでいるのか…… バナナの側の大きな影が不安を呼び起こす。

 

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■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/Gare_Montparnasse_(The_Melancholy_of_Departure)、2020年4月29日アクセス