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【作品解説】パプロ・ピカソ「女性の胸像」

女性の胸像(マリー・テレーズ)

Bust of a Woman (Marie-Thérèse)


概要


作者 パブロ・ピカソ
制作年 1931年
メディウム 彫刻

《女性の胸像(マリー・テレーズ)》は1931年にパブロ・ピカソが制作した彫刻作品。当時のピカソの愛人マリー・テレーズ・ウォルターを表現している。2016年にアメリカの画商ラリー・ガゴシアンとカタール王室の間で所有権問題を起こした作品として知られている。

 

サルバドール・ダリのダブルイメージのような表現が使われており、鼻の部分がピカソのペニスになっており、ウォルターの額の上にもたれかかっている。

 

1年前にピカソが作っていた彫刻作品に《女性の頭部》があるが、一見すると題名の通り女性の頭部で、マリー・テレーズを表現しているが、同時に全体、および顔の各パーツがピカソの性器となっている。鼻の部分が陰茎で目の部分が睾丸なのである。男性器と女性の身体を同一視した表現はほかに、ピカソの勃起したペニスとテレーズの身体と融合した状態を、ダブルイメージで描いている《夢》がある。

『女性の頭部』
『女性の頭部』

批評家のブレイク・ゴピックはピカソのウォルターへの、また男性優位主義的な態度を批判しているが、作品のできについては称賛せざるを得ないと批評している。

 

また、ピカソの自伝家のジョン・リチャードソンはこの彫刻を見て「彫像の胸の部分はかがんでいるスフィンクスのように見える」と感じたという。


■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/Bust_of_a_Woman_(Marie-Th%C3%A9r%C3%A8se)、2020年5月20日アクセス