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【美術解説】フロリダ・サルバドール・ダリ美術館「アメリカで最大のダリコレクション」

サルバドール・ダリ美術館

アメリカで最大のダリコレクション


フロリダ州にあるダリ専用の美術館


サルバドール・ダリ美術館はアメリカのフロリダ州セントピーターズバーグにあるサルバドール・ダリ専用の美術館である。

 

ヨーロッパ圏外では最もたくさんのダリ作品をコレクションしている。2012年にはアメリカ建築協会が推奨する「フロリダ建築:100年.100スポット」にも指定された。

 

美術館が所蔵しているダリ作品は、96の絵画作品、100以上の水彩絵画とドローイング、そのほかグラフィック、写真、彫刻、超現実オブジェなど、かなり広範囲にわたる。


18あるダリの名作のうち7点を所蔵している


目玉は美術館に所蔵されている、世界に18点あるダリの名作のうちの7点(『幻覚剤的闘牛士』や『クリストファー・コロンブスによるアメリカの発見』)である。

 

ダリ作品における名作とは、大きさは少なくとも5フィート(1.5m)以上、また制作に一年以上費やしているものである。アメリカではMoMAやシカゴ美術館にもダリ作品があるが、いずれも小型である。

 

ほかにも、『記憶の固執の崩壊』『ロブスターテレフォン』『新人類の誕生を見つめる地政学の子供』など美術書などで一度は見かけたことがある作品の多くを鑑賞することができる。

『幻覚剤的闘牛士』
『幻覚剤的闘牛士』

おもな所蔵作品と解説


「新人類の誕生を見つめる地政学の子ども」
「新人類の誕生を見つめる地政学の子ども」
「記憶の固執の崩壊」
「記憶の固執の崩壊」
「クリストファー・コロンブスによるアメリカの発見」
「クリストファー・コロンブスによるアメリカの発見」

ダリの世界を仮想体験できる「ダリの夢」


2016年1月に開催された展覧会「Disney and Dalí: Architects of the Imagination(ディズニーとダリ:想像の建築)」では、ダリが1933年から1935年にかけて制作した絵画『古典解釈 ミレーの「晩鐘」』を元にした仮想現実体験空間『ダリの夢』が話題になった。

 

美術館を訪れた鑑賞者は、3D化されたダリの仮想現実空間を360度歩きまわることができる。シュルレアリスティックな塔の中を歩いたり登ったりすることも可能である。さらに、元の作品には存在しない宇宙象や縄跳びをする少女も登場する。

 

現在、ダリ美術館で楽しむことができるかどうかは不明だが公式サイトで360度視点を変えながら見ることができるPV『ダリの夢:360°』が公開されている。プレイヤーはマウスで左右上下にドラッグすることで視点を変更することができます。

 

iPhoneアプリも提供されており(120円)、スマートフォンでダリの仮想空間を楽しむことができる。

ダリ作品を通じた教育プログラムも多数


ダリ作品の展示に加えて、美術館は一般の人々にダリやダリとよく似た傾向の作家の作品展示を通して、芸術への理解や楽しみ、学術調査を促進することを目指している。

 

キッズルームではダリのトレードマークである口ひげで遊んだり、ダリ作品の超現実的玩具を楽しむことができる。