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【作品解説】マルセル・デュシャン「L.H.O.O.Q」

L.H.O.O.Q

彼女はお尻が熱い


マルセル・デュシャン「L.H.O.O.Q」(1919年)
マルセル・デュシャン「L.H.O.O.Q」(1919年)

概要


作者 マルセル・デュシャン
制作年 1919年
メディウム 修正レディ・メイド(ポストカードに鉛筆)
コレクション ポンピドゥー・センター

《L.H.O.O.Q》は1919年にマルセル・デュシャンによって制作された修正レディ・メイド作品。レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナリザ》の安物のポストカードに鉛筆で口髭と顎鬚を付け加えて、《L.H.O.O.Q》というタイトルを付けたものである。

 

題名をフランス語で発音すると「エラショオオキュ」になり、「彼女はお尻が熱い(俗語で「好きものの女だ」の意」と聞こえる。

 

この1919年という年は、ちょうどレオナルド・ダ・ヴィンチの没後400年に当たる年で、当時大変な人気を博していた。そうした時期にデュシャンは伝統、西洋文明、昔の巨匠の傑作数版に対する若い世代の反抗をうまく表現したものだと評価されている。

 

しかし、デュシャン自身は、特にダ・ヴィンチを小馬鹿にするといったわけではなく、これはデュシャンの女装用の名前ローズ・セラヴィにつながる性別混同遊戯・ペルソナ作品の系統に属する作品となる。

 

「あれはポスターにするいらずらを真似た。よく歯を黒く塗ったりするだろう、あれだよ。落書きだよ。あの口髭と顎鬚をモナリザに付け加えると、モナリザは男に見えるんだよ。」とデュシャンは話している。

 

「男に変装した女ではない。ほんとうの男だよ。当時はきづかなかったが、モナリザが男であるというのはわたしの発見だ。」

 

また、「L.H.O.O.Q」がきっかけとなり、デュシャンとレオナルド・ダ・ヴィンチのあいだに多くの密接なつながりが批評家たちに見いだされた。ふたりとも数学的な体系、光学現象、遠近法の理論、回転機構、偶然性に興味をいだき、また美術は視覚に限定されるべきではなく、レオナルドの言葉を引用するなら「精神の事柄」とデュシャンの「観念の芸術」という信念も共有していた。

市場


2017年10月22日、パリParisでマルセル・デュシャンが巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチの代表作《モナリザ》の複製に鉛筆で口ひげや顎ひげを描き加えた作品の一つが、サザビーズの競売に出品され、63万2500ユーロ(約8460万円)で落札された。

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■参考文献

・「マルセル・デュシャン」カルヴィン・トムキンズ

デュシャン作のひげのモナリザ、約8500万円で落札