【作品解説】グスタフ・クリムト「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 Ⅱ」

アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 Ⅱ / Portrait of Adele Bloch-Bauer II

クリムトが唯一、二度描いた女性モデル


概要


作者 グスタフ・クリムト
制作年 1912年
メディア カンヴァスに油彩
サイズ 190 cm × 120 cm
所蔵者 プライベートコレクション

《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 Ⅱ》は1912年にグスタフ・クリムトによって制作された油彩作品。アデーレ・ブロッホ=バウアー(1881−1925)はクリムトの親友でありパトロンである。またウィーンの芸術愛好家サロンに出入りしていた女性で、クリムトが唯一、絵のモデルとして描いた人物である。もうひとつの作品が、《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 Ⅰ》で、一般的にはこちらのほうが有名である。

 

アデーレ・ブロッホ=バウアーは、産業界で成功した実業家フェルナンド・ブロッホ=バウアーの妻である。ブロッホ=バウアー夫妻はともに美術愛好家だった。アデーレの肖像画は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツに略奪されるまで、ブロッホ=バウアーに飾られていた。

 

その後、ヒトラーから退廃芸術として廃棄するか、売却するかの命令がくだると、1941年にウィーンのベルヴェデーレ宮殿内にあるオーストリア・ギャラリーに売り払われることになり廃棄はまぬがれた。 1945年に夫フェルナンドが亡くなると、自身の資産の後継者としてアメリカに亡命していたマリア・アルトマンを含む甥や姪を指名する。

 

こうした経緯があって、戦後オーストリア政府とアメリカ在住の姪マリア・アルトマンでクリムト作品の所有権争いが発生する。裁判の結果、マリア・アルトマンにクリムトの絵5点(そのうちの1つが本作)の所有権を認めることになり、クリムトの絵5点はアメリカに送られることになった。

 

2006年11月、クリスティーズのオークションで《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 Ⅱ》が競売にかけられ、8800万ドルで落札された。購入したのはアメリカの俳優で司会者のオプラ・ウィンフリである。

 

2014年の秋にアデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 Ⅱ》はニューヨーク近代美術館に特別に長期間の貸出が行われた。

 

2016年夏オプラ・ウィンフリは匿名の中国のコレクターに1億5000万ドルで売却。なお本作は同年9月に、アメリカ・ニューヨークにあるヌイ・ギャラリーで開催された「クリムトとウィーン黄金時代の女性たち 1900-1918」展に貸出し展示がされている。2017年9月以降に中国人コレクターのプライベート美術館で展示される予定となっている。

■参考文献

Portrait of Adele Bloch-Bauer II - Wikipedia、2017年8月1日アクセス