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【作品解説】ポール・ゴーギャン「ヌードの習作」

ヌードの習作 / Study of a Nude

意図的に醜い身体を描いたヌード画


ポール・ゴーギャン「ヌードの習作」(1880年)
ポール・ゴーギャン「ヌードの習作」(1880年)

概要


作者 ポール・ゴーギャン
制作年 1880年
メディウム 油彩、キャンバス
サイズ 114.5 cm × 79.5 cm
コレクション ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館

《ヌードの習作》は、1880年にポール・ゴーギャンによって制作された油彩作品。裸の女性が衣服を縫っている姿を描いている。現在、コペンハーゲンにあるニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館が所蔵している。

 

マネやクールベの静物画や構図の影響が色濃く見られる作品。裸の女性は、マンドリンやタペストリーが飾られているマゼンダの壁を背後にし、ベッドメイキングが整っていないベッドに座り、縫い物に夢中になっている。光は女性の背後から差し込み背中を照らしているが、顔や胸のあたりは影になっている。

 

女性の顔は魅力的だが、一方で身体はたるんで締まりがなく、意図的に醜く描かれている。モデルは妻のメテと誤解されがちだが、ゴーギャンの息子の乳母のジャスティンとされている。

 

印象派展で展示され反響があったにもかかわらず、ゴーギャンはこの絵を売らなかった。またゴーギャンの妻のメテは家にこの絵を飾るのを嫌がった。しかし、ゴーギャンがコペンハーゲンで家族を捨てたとき、絵は1892年にデンマーク人芸術家のテオドール・フィリップソンが購入するまで、彼女が保持していた。