【作品解説】サルバドール・ダリ「器官と手」

器官と手 / Apparatus and Hand

性の不安と興奮を表現したダリの初期作品


概要


「器官と手」は、1927年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。ダリはこのとき23歳で、9ヶ月の兵役を終え、画家として独り立ちし始めた頃の初期シュルレアリスム作品である。後の傑作「記憶の固執」のプロトタイプのような作品。


シュルレアリスム以前に影響を受けていた印象派やキュビスムを捨て、より個人的なヴィジョンを追求しようとシュルレアリスムに取り組み始めた頃で、ダリの友人ガルシア・ロルカの作品の影響やジョアン・ミロの詩的な形態、イヴ・タンギーの生体的形態の影響が見られる。


また、フロイトの「無意識」に最も影響を受けていた頃である。


タイトルの「器官」は人間の形態のような幾何学的構造をもった図形を指す。幾何学的な形態の器官の上に真っ赤な手が突き出ており、その周囲を幽霊のような動物や裸体が描かれている。ダリにとって「手」はオナニズムを象徴するもので、周囲の「幽霊」のようなものは女性を象徴するもので、ダリの女性に対する不安と興奮を表現した作品だといる。


また左下にいる動物はロバであるが、ロバは「アンダルシアの犬」にせよ、ダリがよく使う動物のモチーフで、ロバにはハエの大群がおり、死を表しているという。