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【美術解説】劇団イヌカレー「チェコやロシアアニメーションの影響を受けた魔術的空間で注目」

劇団イヌカレー / Gekidan Inukare

まどか☆マギカの魔術的空間


「魔法少女まどか☆マギカ」から魔女のシーン。
「魔法少女まどか☆マギカ」から魔女のシーン。

概要


劇団イヌカレーは、2007年に活動を始めた日本のアニメーション作家ユニット。元ガイナックス所属のアニメーターである2白犬(白石亜由美・右)と、元タント所属の仕上げオペレーター・泥犬(左)の2名によって構成される。

 

「魔法少女まどか☆マギカ」の魔女との戦闘シーンで現れるシュールで不気味な空間の演出を担当したことで知られており、この作品以降、彼らの演出は「イヌカレー空間」と呼ばれるようになった。ほかにTVアニメ「まりあ†ほりっく」や「うさぎドロップ」のED映像を担当している。

 

泥犬と2白犬は二人とも、ロシアやチェコのアニメーションから多大な影響を受け、それらを作品の演出に利用している。手法はコラージュであったり、手描き、切り絵などでアナログから始まることが多く、それをスキャンして、デジタル加工している。ほかにテリー・ギリアムのモンティ・パイソンからの影響も見られる。

 

2人はまるでオーケストラのような多くの人々の集団アニメーション作業よりも、個人がミニチュア風景を制作するようなアニメーション作りを好んでおり、商業ベースのアニメーションの仕事を経て、現在はアートフィルム制作に本格的に専念している。

略歴


2017年 ゴシック評論の金字塔的書籍のカバーイラストを担当


ゴシック世界の全貌を澁澤龍彦・中井英夫の後継が描いた高原英理の本格ゴシック評論「ゴシックハート」の文庫版のカバーイラストを担当。

2016年 初単行本「ポメロメコ」を刊行


2016年10月にはフラカラーマンガの初単行本「ポメロメコ」を刊行。「ポメロメコ」はネムキとNemuki+(どちらも朝日新聞出版)に連載されたマンガ。毎日カエル工場で働く双子の少女・ポメロとロメコが床下の国で繰り広げる冒険を描いたダークファンタジー。

 

2人は昔から「まんが日本昔ばなし」のようなたまに入っているホラーの童話作品が作りたかったという。

2016年 初個展「床下展」をパラボリカ・ビスで開催


2016年4月には、浅草橋・パラボリカ・ビスで初個展「床下展」を開催。7月には京都・山科の古民家 春秋山荘へ巡回展示を行った。原画の展示を含め、さままざまなオブジェを利用した現代美術的なインスタレーション空間だった。

展示詳細:【床下展】お化け嫌い、イヌカレー好き【泥犬】



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