【作品解説】サルバドール・ダリ「アメリカの詩」

アメリカの詩 / Poetry of America

アメリカの人種問題を表現


概要


「アメリカの詩」は1943年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。ダリが第二次世界大戦の戦禍を避け、アメリカのカリフォルニア州モントレーに滞在していたときに制作。


主題はアメリカの人種問題である。背景はスペインのカダケスと広大なアメリカの砂漠を融合した環境となっている。


大きな時計台には、アフリカ大陸の形状と柔らかくなった男性器の形状をダブル・イメージして生成された皮膚のようなものが掛けられている。また扉のない、彼方が透けて見える構造の塔は「縄跳びをする少女のいる風景」と同じもので、ラファエロの「聖母の結婚」からの引用である。ダリによれば、アメリカにおけるアフリカ系の人々が置かれている厳しい状況を表すために、涙を流すアフリカを建物に描いたのだという。


描かている人物は、黒人、およびアメリカ先住民系のスポーツ選手だと思われる。左から2番目の黒人はフットボールをしており、左端の人物はアメリカ原住民とヤリ投げの選手のダブル・イメージであると思われる。


右端の赤と青の身体をした人物は、アメリカの象徴としてのコカ・コーラを身体に吊り下げている。コカ・コーラ瓶の底からは黒い血が流れ出しており、その黒い血はダリの「ロブスター電話」でも使われている黒電話でもある。


右の2人のスポーツ選手の足にひっかけられている白い布は白人とアメリカ国旗の背景の白い部分を象徴している。白い布の上に黒い血が溜まり巨大なシミを生成しているが、これはアメリカの人種問題を揶揄していると思われる。決して白背景に赤と青のシミができることはないのだ


ちなみに、コカ・コーラが絵画で描かれたのは美術史上本作品が最初であるといわれており、ポップ・アートの先駆的な作品である。