【美術解説】エドワード・ジェームズ「シュルレアリスムの重要コレクター」

Edward James / エドワード・ジェイムズ

イギリス最大のシュルレアリスムコレクター


豪邸で後に大学に寄贈された「ウェスト・ディーン・ハウス」
豪邸で後に大学に寄贈された「ウェスト・ディーン・ハウス」

概要


エドワード・ジェイムズ(1907-1984)はイギリスの詩人、富豪、ペギー・グッゲンハイムと並ぶシュルレアリスムの大パトロン。ダリやマグリットをはじめ、数多くのシュルレアリストの作品を買い集めたことで知られる。

 

特にサルバドール・ダリの熱心で、1938年のダリの作品をすべて購入。またその後に収集したダリの絵画、オブジェも含めた彼のシュルレアリム・コレクションは、個人蔵においては最高のコレクションと評価されている。

 

コレクションだけでは物足りず、シュルレアリストの生活もサポート。約2年間、ダリの画材など制作資金を提供し、また同じくルネ・マグリットにはロンドン滞在時に家を貸し出していた。

 

マグリットが制作した有名なエドワード・ジェイムズに関する作品として「複製禁止」と「エドワード・ジェイムズの肖像」があり、これらはジェームズの疎外感を表現したものと言われている。

 

1947年メキシコ中部サン・ルイス・ポトシ州南端の山間の村ヒリトラのジャングルのなかにコンクリート建築を中心とした不思議な楽園ラス・ポサス(Las Pozas)を建築。

ルネ・マグリット「複製禁止」1937年
ルネ・マグリット「複製禁止」1937年
ルネ・マグリット「エドワード・ジェイムズの肖像」1937年
ルネ・マグリット「エドワード・ジェイムズの肖像」1937年

ほかにエドワード・ジェイムズがコレクションしている作家は、ヒロニエム・ボッシュ、ジョルジョ・デ・キリコ、レオノーラ・キャリントン、パベル・チェーリチェフ、パブロ・ピカソ、アルベルト・ジャコメッティ、マックス・エルンスト、ポール・デルヴォーなど。


これら集めたコレクションは、ジェイムズの死去二年後にクリスティーズで競売がかけられ一般市場に流れた。なお自宅の大豪邸はウェスト・ディーン・カレッジに寄贈された。

 

●参考文献

Edward James - Wikipedia


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